カルデロンのり子さんの件について、メモ
ついに結論が出たようなので、これまでの流れをまとめてみる。
そもそもこの件に関心を抱くのは、以前NGOで活動していたとき、のり子さんと同様にオーバーステイで在留特別許可(在特)を請願していた子どもがいたからだ。このときは、社会の不完全な一部を垣間見た気がした。また、僕自身も中学生の頃に、ビザが更新されずに帰国するか日本に残るか迷った時期があった。これは、父がリストラされて就労ビザを失うのにともない、僕と母の家族滞在ビザも切れてしまうことによるものだった。結局、日本国籍に帰化することでなんとか”生き延びる”ことができた。
今回は、社会や法律が抱える問題、そういった状況に巻き込まれた子どもの心境、加えて、数あるケースの中でなぜのり子さんのケースだけ大々的に報道されたのかについて関心がある。以下、オンライン記事よりまとめてみる。あくまでも、メモとして。政治的主張はない。
◆事情把握
両親は単純出稼ぎ労働者である点、これまでまじめに働いてきた点、のり子さんは日本で生まれ育った点を認識しておきたい。
・アランさん夫妻は出稼ぎのため、92、93年に相次いで他人名義のパスポートで来日。結婚して、95年にのり子さんを授かった。アランさんは内装解体工として働き、今では後輩を指導する立場だ。所得税、住民税を納めてもきた。
・のり子さんは埼玉県蕨市の市立中1年生。明るく、音楽部の活動にも熱心で、たくさんの友だちに囲まれている。
・蕨市議会が在留特別許可を求める意見書を採択し、2万人を超す住民らが法務省への嘆願書に署名した。
(毎日新聞)・2006年に入管難民法違反で逮捕、起訴されたサラさんには執行猶予付き有罪判決が確定している。つまり、犯罪に対しての裁きは終わっている。
・一家が強制退去処分の取り消しを求めた行政訴訟は昨年、最高裁で敗訴が確定した。
・東京入国管理局は9日、親子3人の在留特別許可をあらためて求めるために出頭したアランさんの身柄を収容、強制退去の手続きを開始した。
(宮崎日日新聞)
◆家族側に立った主張(許可を与えるべき)
1.そもそも、単純労働者も受け入れるべき。
日本政府は、単純労働を目的とする外国人を受け入れていない(ただし、1990年の改正入管法により、日系ブラジル人は当該目的でも入国が可能となった)。一方、実際は、製造業や飲食サービス業をはじめ、多くの単純労働者を当てにしている。それゆえ、高い人件費を削減できた日本企業は国際競争力を保つことができたし、労働力不足の中で消費社会を維持することができた。したがって、そもそも今の政策・法制度が実情にあっていないという、そもそも論。確かにそう思うが、未だ立法されていない点、今後立法されても遡及しない可能性がある点で、非現実的な主張な気がする。ちなみに、不法滞在ゆえに教育を受けてはいけないはずはないのではないか。
出入国管理は厳正に行われるべきだ。が、実務上あいまいな面もあり、毎年1万人近くが日本人の配偶者となったことなどを理由に在留特別許可を受けてもいる。単純労働は認められないのに、実際には来日外国人の労働力を当てにしている職場が少なくない。不法滞在の取り締まりを徹底する態勢が整っているとも言いがたい。のり子さんが教育を受けてきたのも、行政が不法滞在を容認していたからだとも解釈できる。(毎日新聞)
日本では、移民政策の立ち遅れにも関わらず、バブル経済の頃より働く外国人の数が増えた。多くの外国人が日本の社会を、3K職場などの底辺から支え続けてきた。ところが、2004年から2008年にかけて行われた「不法滞在者半減に向けた入国管理局の取組」によって、多くの家族が強制送還などによって日本を追われるようになった。
不法入国、不法滞在といっても、あくまでも手続き違反であり、殺人や窃盗のように、法律以前に人間として許されない罪を犯したわけではない。しかも、子どもが小学生、中学生で就学しているケースも多く、子どもの権利は国際条約に従って最大限、尊重されるべきだ。子どもは父母の母国語を話せない場合が多く、帰国した場合は就学や就職に困難を来たす場合も多い。
(JANJAN)
2.善良な市民であり、時効を援用するべき。
時効という発想がなかった。知識不足だが、なぜ適用できないのだろうか。殺人に時効はあっても不法入国にはないのはなぜだろうか。これは政策(政治)マターなのではないか。もしかしたら、政権が交代すれば政策が変わり、法律も変わるのかもしれない。
一家のように犯罪集団などと無縁に勤労、就学を続ける来日外国人については、不法入国・滞在をいつまでも問題視せず、一定のルールを作って正規に受け入れるべきではないか。国際化時代の社会の要請にも合致しよう。真実の権利関係と違っても一定期間継続した事実があれば、法律効果を認める民法の時効の考え方を援用すればいい。善良な市民として長年居住する来日外国人は、在留を認められてしかるべきだ。
法務省入管局長が81年、衆院法務委員会の答弁で長期滞在について人道的配慮から特別に在留を許可する方向を示唆したことも想起したい。ヨーロッパの国々が、一定期間居住した外国人に在留許可を与える法制度を設けていることも参考にしたい。(毎日新聞)
3.裁きはすでに終わっている。
不法入国という不法行為に対し、執行猶予付きの有罪判決を受けていることから、既に法の裁きを受けている、という主張。一方、憲法がうたう三権分立の観点から、今回の強制退去処分は東京入管による行政処分であるため、独立して執行できる、ということだろうか。これまた僕の知識不足でクリアではない。
のり子さんだけには在留特別許可が与えられる可能性はあるが、両親が強制退去になれば家族は引き裂かれる運命だ。犯罪には厳正、公平に対処すべきである。しかし、今回のケースでは「非情すぎる」と感じる人が多いのではないか。アランさんは建設会社などで働き、サラさんとともに地域と良好な関係を築いてきた。2人に入管難民法以外の犯罪歴はない。
2006年に入管難民法違反で逮捕、起訴されたサラさんには執行猶予付き有罪判決が確定している。つまり、犯罪に対しての裁きは終わっている。一家が強制退去処分の取り消しを求めた行政訴訟は昨年、最高裁で敗訴が確定した。
のり子さん一家に対する入管の判断には、この最高裁判断が影響したようだ。だが、訴訟提起の時点で子どもの学齢が中学生以上の場合、在留特別許可を認められた例もある。
(宮崎日日新聞)
4.子どもの権利条約に違反している
法体系では、1.憲法、2.条約、3.法律、4.政令等の順となっており、法律は条約に従わなければならない。したがって、子どもの権利条約を批准している日本国の法律は、当該条約に基づいた法律を守らなければならないという主張。この主張はごもっとも。確か子どもが15歳以下であれば適用されるはず。在特の活動する際は、これを根拠に主張していくのが常套手段かもしれない。ただ、日本政府としての法解釈の違いや留保事項等にも留意すべきか。これも僕の知識不足でクリアではない。
一家については海外メディアも報道している。国連人権理事会も調査に乗り出している。子どもには「両親と暮らす権利」や「継続的に教育を受ける権利」がある。海外はその見地から、のり子さん一家の扱いに関心を持っている。
児童の権利条約には、両親の意思に反して「子どもは父母から分離されない」という規定がある。同条約には日本も批准している。日本政府は親が入管難民法違反者の場合は「適用外」と解釈してきた。国連の児童権利委員会はこれまでに解釈の撤回を促す勧告や懸念を表明している。
もし、のり子さんが両親とともにフィリピン行きを選択すれば、これまで受けてきた日本における教育の継続性が断たれる。欧米諸国は出頭したり、一定期間を超えた違法滞在者に在留を認める一種の恩赦を実施している。また、英国は7年以上の違法滞在者で子どもがいる場合は永住権を与えている。
不法残留ではあっても、まっとうに働き、つつましい暮らしを営む外国人は少なくない。ここは人道的配慮を優先すべきだ。罪なき少女の涙はつらい。
(宮崎日日新聞)
◆行政側に立った主張(強制送還すべき)
大手メディア、特に毎日や朝日は家族側に立った意見が多かった。一方、ネットでは否定的な意見が多かったとのこと。
不法滞在ながら、子どもを理由に在留特別許可を求めるフィリピン人一家。新聞には一家を擁護する論調が目立つ一方、ネット上ではバッシングの嵐が吹き荒れている。日本で生まれた子どもには罪はないはずだが、この違いはどう考えたらよいのか。ネット上では、子どもを盾と批判殺到
(中略)
バッシングが吹き荒れるネット上とは対照的に、新聞などのマスコミでは、カルデロン一家を擁護する論調が多い。
朝日新聞は、2009年3月12日付社説で、森英介法相に対し、一家が求める在留特別許可を認める「英断」を下すよう明確に促している。法律論では、悪質な不正入国やほかへの影響を考えるべきだが、「だからといって子どもの幸福をないがしろにしていいわけはない」というのだ。ノリコさんは、日本語しか分からず、強制退去処分が出たとき小学生だったからといって過去に特別許可が出た中学生のケースと区別するのはおかしいと主張している。また、沖縄タイムスは、11日付社説で、「今回は、日本で生まれた子どもの発育環境をどう守るべきか、という観点も必要」と主張。家族の保護をうたった国連の人権規約や子どもの利益を最優先する「子どもの権利条約」に照らしても、入管法ではなく子どもの権利を第一にと訴える。これは共同通信の論説を参考にしたらしく、宮崎日日新聞でも10日付社説で、同様な意見を述べている。
(J-CASTニュース)
2ちゃんねるでのコメント(抜粋)は以下の通り。主張としては、「法律に違反している→犯罪者→当事者が悪い」という論理。テレビのワンシーンだけを見て、断片的な情報を下に判断している感じがする。
なお、詳細はhttp://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1223366.htmlで見れる。
6 :名無しさん@九周年:2009/03/12(木) 22:00:17 id:yDDK/D3v0
ねーよ
お前らが胡散臭い16 :名無しさん@九周年:2009/03/12(木) 22:01:49 id:ikORkDmo0
無いです。ありません。断じて無い。
犯罪者に出て行って欲しいだけだ。17 :名無しさん@九周年:2009/03/12(木) 22:01:55 id:hwH/dE1t0
あるだろうねぇ。不法入国の外国人に対しては。18 :名無しさん@九周年:2009/03/12(木) 22:02:01 id:MbWblqPC0
いいえ、犯罪者のごね得を許さないだけです19 :名無しさん@九周年:2009/03/12(木) 22:02:08 ID:3LqMGnF+0
×外国人排除の発想
○犯罪者排除の発想20 :名無しさん@九周年:2009/03/12(木) 22:02:22 id:bpz0JX9b0
合法的に入国したんだったら全く文句無いわけで23 :名無しさん@九周年:2009/03/12(木) 22:02:39 id:bfJemdvq0
大前提として両親は犯罪者なんですけど
それでも外国人排斥ですか?24 :名無しさん@九周年:2009/03/12(木) 22:02:39 id:vLwzmhFuO
正規入国じゃないんだろ。
犯罪者じゃん。外人、日本人以前の問題だろ25 :名無しさん@九周年:2009/03/12(木) 22:02:52 id:gxGPjXud0
不法入国外国人排除は世界のルール26 :名無しさん@九周年:2009/03/12(木) 22:02:54 id:ZWnq6SIe0
外国人はいてもいいんだよ
ただ、犯罪者は出てけ28 :名無しさん@九周年:2009/03/12(木) 22:02:59 id:GnlSKo7D0
法律で飯食ってる弁護士が何を言ってるんだ?法治国家であることを真っ向から否定するってことは
弁護士の存在意義を否定するに等しいわけだが・・・。31 :名無しさん@九周年:2009/03/12(木) 22:03:10 id:MAdmL9Ue0
犯罪者と外国人の区別もつかないのに弁護士になれるんだね。32 :名無しさん@九周年:2009/03/12(木) 22:03:21 id:NlwYOh96O
国法を対外的に破壊する弁護士って・・・なんだ?36 :名無しさん@九周年:2009/03/12(木) 22:03:32 id:C3FZK3s70
法を守れつってるだけだボケ(´・ω・`)38 :名無しさん@九周年:2009/03/12(木) 22:03:51 id:M27+/NRF0
差別問題にすり替える、ブサヨのいつもの手だなw41 :名無しさん@九周年:2009/03/12(木) 22:04:04 id:IBqoFAvJO
正規の方法で来るなら特アでも了承する。
嫌だけど。48 :名無しさん@九周年:2009/03/12(木) 22:04:49 id:VNYZqETm0
外国人排除の思想があろうが無かろうが、
国としてこの一件に対処する道はひとつしかないだろアホか53 :名無しさん@九周年:2009/03/12(木) 22:05:03 id:rPMQr0lm0
あのー、法律を守らない人を排除したいのですが・・・・・。
弁護士って法律を守らないのが仕事なんですか?55 :名無しさん@九周年:2009/03/12(木) 22:05:09 id:PQZJIWFz0
犯罪者をバッシングしてるのにw