海はやがて青い空へと続いている
朝八時に起きて、洗濯をする。今日も快晴だ。実に気分爽快。これなら憂鬱な気分を吹き飛ばしてくれそうだ。
洗濯を終え、Xに電話する。Xは、先月末にひでたちと一緒に富士山麓をドライブ旅行した女の子だ。あれから仲がうんと近くなった。「起きた?」と聞くと、「もちろん」との返事。受話器の向こうからはテレビの音がする。今日見に行く映画何にしようかとか、昼ごはんは何食べようかとか、本当はプールに行きたいんだよねとか、そんなことを話したあと、待ち合わせ時間を決める。シャワー浴びるからもっと遅くして、と言われ、僕も午前中は読書をしたかったので、正午前の待ち合わせにした。
いざ待ち合わせの場所に着くと、コールしても出ない。仕方なく近くの百円均一の店で買い物する。すると、電話がきた。来たようだ。
待ち合わせ後、近くの中華料理屋へ向かう。中国人が経営している。店に入ると、いきなり中国語で話しかけられる。どうやらXはここの店員と仲良くなったみたいだ。3品ほど料理を注文し、とりとめのない話をまたする。途中から店主のおばさんが僕の隣に座り込んで話に混ざる。おばさんは18年前、娘は12歳のときに来日したらしい。話題は娘への教育の話へ移る。「世の中には上流の人もいれば、下流の人もいる。だからといって、接する態度を変えてはいけないんだ」という言葉に共感する。おばさんに「もう結婚する年齢でしょ?」と言われ、「あたしはもっと色々なことを経験したいからまだ先。」と言ったXを見て、その考えに共感と少しばかりの不満を覚える。
その後、ジャスコに行き、Xはメガネをつくりに、僕はカフェで本を読む。2時間ほど待った頃にようやく連絡がくる。どうやらスーツを試着していたようだ。彼女は9月末に上海に戻り、しばらしくしてから米系の自動車会社で働くことが決まっている。出張が多いみたいなので、スーツを新着したかったようだ。しばらくふたりで本屋をぶらぶらする。『MY HOME100選』とかを見て、コレいいなとかアレいいなとかぶつぶつ言う。
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そして映画を見る。日曜の夕方の映画館はさすがに人が少ない。『トイレット』という映画を観たが、メッセージがまるでわからない。しかしおもしろい、そしてそれだけで良い。映画を見終えて、しばらくベンチでまったりする。これから家帰って、ご飯を食べて、果物を食べて、少し休んで、帰るねって話をしたら、果物はないよって話になって、果物を買いに行く。僕の好物の西瓜をさがしたがなかったため、パイナップルで我慢する。Xは、ヨーグルトとフルーツグラノールを買う。とても体に気を使っているようだ。
Xの家に戻り、ソファに寝転がる僕をよそに、Xはさっそく台所で作業を始める。まだお腹がいっぱいだったので、カップラーメンにする。麺をすすりながら、部屋の中が綺麗に整理されていることに感心する。はては、だから今日待ち合わせに遅れたのだろうか。いろいろな物を指してあれはどこで買ったの?これは?それは?と、聞きまくる。それからパイナップルを食べ、トマトジュースを飲み、ソファであれこれ話す。「むかし日本に来たばかりの頃、貧しくて、よく自転車とかテレビとかタンスとか学習机とかを拾ってきたよ」と話したら、Xも「日本に来た頃は家具を中国人のコミュニティでもらったり、他人が拾ってきたものをもらっていたよ」という話をしてくれ、共感する。
それからもろもろの話をして、帰途につく。家に着き、お休みのコールをして、寝る。夢じゃない。