病は気から、その経緯(いきさつ)と再発防止策とやら

ここ数日、仕事で忙しかったり、緊張が続いたり、落ち込んだりした。それにともなって、口内炎になり、嘔吐をしたり、風邪を引き熱を出した。病は気から、というが、いざ起こり出すと雪崩のように影響が大きくなっていくものだと知った。


まずは僕を採用した上司が会社を離れることになり、精神的にも技術的にも支柱を失ったことから始まる。


上司は、京都大学を卒業して世界的な大企業に入り、米国の大学院にも留学し、さらにはMBAも取得した秀才の一方で、寛容で誰からも好かれる人だった。1年間一緒に仕事してきて、励まされたり指導をしてくれたりキャリアについて相談にのってくれたり、たくさんのことを学んだ。その上司が社内政治の流れで会社を離れることは、いくら外資系企業は人の出入りが激しいとはいえ、僕の中では腹落ちしなかった。

おまけに来月中旬には離れるというから、多くのプロジェクトや責任が僕に引き継がれることになった。やりがいを感じる一方で、その責任と負担を想像すると、目まいがしてきそうだった。


また、とある展示会に出展することになり、僕はその取りまとめをすることになった。これまで惰性でやってきたことを良しとせずオリジナリティを出そうとするあまり、色々と意見が異なる人とやり合うことがあった。これが僕にとってはストレスフルだった。人に体当たりしに行ったわりにはひ弱になる、これが僕のいつものパターンである。
結果的に、妥協をし場合によっては首尾一貫自分でやり通したおかげでほぼ満足のいく展示会にすることができた。ただ、緊張感に開放されたのか、夜遅くまで勉強し過ぎたのか、最終日のパーティで嘔吐してしまった。


さらに、登山も影響したのかもしれない。金曜日に展示会を終え、打ち上げをして家に帰った僕は、考える間もなくベッドに倒れ込んだ。そして翌朝5時半、体に鞭打って早起きし登山の準備をした。洗濯や部屋の片づけ、皿洗いも同時に終え、奥多摩湖に向かった。そして友人ら6人と東京都最高峰、雲取山登山をスタートした。翌日、22kmの縦走を終え下山して都会に戻った僕を迎えたのは、悪寒だった。喉が痛み、鼻水が出、背中と関節が痛みだした。そして月曜と火曜、仕事をしながら風邪と苦闘した。


風邪を引いたのは久しぶりだった。僕は基本的に処置療法が嫌いで、予防と自然治癒力向上を基本とする東洋医学的観点を好んでいる。だから、日頃から、十分な睡眠と食事、体力、適切でこまめな体温調節、感染防止を心がけてきた。そのため、今回風邪を引いたことは悔しかった。それでも、2日以内に治せると思った。つまり、十分すぎるほどの睡眠と栄養摂取、下着を濡らすほどの汗を出すこと、そして絶えず水分を摂取して体内の毒素を排泄すること、これができれば問題ないと思った。


そして今日、完治できた。西洋の薬を服用せずに。


口内炎も嘔吐も発熱もどれも僕の体には久しく起きていなかった。やはり心理的な要因が大きかったと思う。そう言うと「病は気から」と言いだした先人は喜ぶかもしれないが、今回は、健康を維持してきたからこそまさにそうなのだと思う。


さて、問題は再発防止策なのだが、それは、「忘れる」こと、愛すべき人を見つけること、希望をもつこと、そして男としての度量をもつこと、そんな具合だろうか?