スイスでの研修
会社の研修でスイスに来て4日が経った。今回は、ベーシックトレーニング3日間と僕が担当する分野のトレーニングと打合せを1日、チューリッヒ郊外の都市で受けた。28日から2日まではミュンヘンでも別のトレーニングを受ける予定だ。
日曜日、初めての海外出張で気分をうきうきしつつも、英語が通じるかどうか不安も抱きながら飛行機に乗った。隣の席にいた同世代の女の子はイタリアに旅行しに行くようで、海外に出張で行くなんてかっこいいと言ってくれたが、そんな言葉で浮かれている暇はなかった。運よく同じ便に会社の上司がおり、チューリッヒ空港に着いてから難なく列車に乗り換えることができた。彼は日本での出張を終えての帰国で、疲れた様子だった。思えば、4年ほど前にひでとドイツを旅したときも、チューリッヒ空港で降りて列車の乗った。そのため、空港の風景にどこか懐かしさが感じられた。
毎日の行動はほぼ決まっていた。朝起きてホテルで朝食を食べて研修中のメンバーと一緒に駅前のバスに乗って会社に行き、研修が終わればバスか徒歩でホテルに戻り、みんなでディナーに出かけた。会社の文化なのか欧州の文化かは定かではないが、食事の席をともにすることを非常に大切にしていると感じた。ディナーは自分たちで払う必要はなく、もちろん毎晩参加した。ディナーではいろいろな料理を楽しんだが、お酒はいつもドイツのdarkなビールか時々白ワインを飲んだ。毎晩飲んでも飽きず、本当に美味しかった。
研修のメンバーは、デンマーク、ロシア、オーストラリア、中国、日本、韓国、ドイツ、チェコと国籍が多彩で、年齢も離れている人がいたが、1日目が終わった時点でみな仲良くなった。メンバーの中に2ヶ月前に転職してきた役員がおり、彼がとても明るくユーモアで昼夜問わず場を盛り上げてくれた。ディナーのときもたくさん話すことができたし、騒ぐこともできたし、軽い議論をすることもできた。本当に良い経験だった。もちろんそのほかのメンバーもそれぞれのバックグラウンドを理解することができた。
中国の友人はドイツに5年間留学したことがあり、いろいろな経験談を教えてくれた。もちろん僕も日本での滞在経験をいろいろ聞かれた。ロシアの友人とは恋愛や結婚のことばかり話していた。彼ははじめはシャイだったが、最終的にいろいろと知り合うことができたと思う。そのうちモスクワに行きたい。
チェコの友人は、ボディビルディングをしておりまさに筋肉だらけでびっくりするくらいだったが、外見とは裏腹にとても誠実で努力家だった。特に、決してうまいとは言えない、相手が何度も聞き返すくらいの英語で何度も質問したり、懸命に説明をしようとする姿は学ぶ点が多かった。チェコは、トヨタが工場を建てるくらいの工業国で、東欧の中でも成功している国だと思う。僕らは固い握手をしてプラハで再会することを誓った。
コミュニケーションは一定のプロトコルに従うことがやはり必要なのだろうと思う。言語でいえば英語であるし、服装や身だしなみも大切なのだと思う。また、些細なことかもしれないが、笑顔で挨拶をすること、一緒に同じテーブルで食事を取ること、笑顔で話すこと、ユーモアを交えること、事実に基づいて話すこと、相手の意見をまず受け入れること、相手をリスペクトし褒めること、本音を素直に話すことなども重要だと思う。
そういったプロトコルを守った上で、自分のアイデアや説得力などのスキルを発揮することが重要なのだろう。日本などの東洋では、ともすれば、年齢や地位がアイデアの優劣を決める大きな要因となりがちだが、今回の研修では、まさにアイデアをいかに出していかに決めるかというプロセスを学んだような気がする。