30代に何をするか?
仕事中に会社携帯に何度か電話が鳴った。いつものごとく折り返しすると、意外にもヘッドハンターだった。初めてのことなので少し驚いたが、それ以上に、ヘッドハンターが英語を話してくることに戸惑った。
相手はシンガポールの会社で、流跳な英語を話す中国人だった。僕はプアな英語で会社のことやキャリアについていろいろと意見を交換した。どこから情報を得たかは分からないが、こういうことは外資系の企業に勤めていれば決して珍しいことではないだろうと思った。
その後はしばらく放置していたが、2人目がコンタクトしてきたので、一度会ってみることにした。
すると、面談ではアメリカ人と中国人のコンサルタントが出てきた。こうなれば、英語で話すしかなかった。すこし緊張したが、ときおり日本語と中国語を交えながらの会話は楽しく、参考になった。
どうやら彼らは、9人ほどの部下をもつマネージャーのポジションを僕に紹介したかったようだが、僕の話を聞き、それを喉元にしまいこんだ。彼らは僕に、あと3〜5年は今の会社で頑張ること、30代はできれば10年くらい同じ環境で働いて自分の競争力の基礎を作ることを提案してくれた。そうすれば、市場価値は上がると言ってくれた。これは僕の考えとも一致した。というよりも、これが典型的なステップだろうと思っていた。
しかし僕には日中英の3カ国語を話せること、メカニクスとエレクトロニクスの両分野をバックグラウンドに持っていることの2点が非常に強みになると、アドバイスしてくれた。これは非常に心強いアドバイスだった。確かに、これまで自動車産業はずっと垂直統合型の開発をしてきたが、今後は分野によっては徐々に水平分業に移行していくと思う。それは、コモディティ化、IT化、環境志向(EV化)や途上国の技術力と市場規模が大きくなっていることが背景にあるだろう。ゆえに、いくつかの言語を使って開発を進めることや機械や電気の学際的な領域に関する知見が求められることだろう。無論、この潮流に乗るには、今の何倍も勉強し経験することが求められる。
いづれにしても、今は未熟ではあるが、これまでやってきたことは間違っていなかった。そう思えるだけでほっとした。
ただ、僕には他にもやりたいことがある。たとえは、海外の大学院に留学して経営か教育を学びたいし欧州や中国に住んでもみたい。安定した道もいいが、何かを追って挑戦することもしてみたいのだ。30歳まであと5年もない。しっかり道を決め、それに向かって努力しなければならない。だけど、いまだに進むべき道を決めかねている。